美しさの向こう側
リオ五輪、体操男子個人総合で内村選手が優勝して、44年ぶりの五輪2連覇。
柔道男子90キロ級のベイカー茉秋選手、女子70キロ級の田知本遥選手が金メダルを獲得。
五輪で日本勢が男子90キロを制したのは初めて。リオ五輪で日本女子の金メダルも、柔道だけではなく、全競技種目を通じて初です。田知本選手が、五輪姉妹出場が叶わなかった姉の愛さんに金メダルをかけた光景は印象的でした。柔道は、10階級のうち日本が金3、銅6を獲得しています。
国別では、日本が金6、銀1、銅11の獲得で、アメリカ合衆国、中国
に続いて3位です。
体操男子個人総合のメダリスト会見で、オリンピックを含めて世界大会8連覇の内村選手に海外メディアから「あなたは審判に好かれているんではないですか?」という質問がありました。内村選手は「まったくそんなことは思っていない。みなさん公平にジャッジをしてもらっている」と淡々と答えるだけでしたが、銀メダルに終わったウクライナのベルニャエフ選手は「それは無駄な質問だ」と突き放し、内村選手を称賛しました。
個人総合で最後の鉄棒を前に、トップに立っていたのはベルニャエフ選手で0.901という大差でしたが、鉄棒で0.099差で逆転。
勝敗をわけたのは、着地でしたが、スコアを気にし続けていたベルニャエフ選手に対して、美しさの向こう側が見えてきたという内村選手の境地が勝りました。
レスリングで霊長類最強と称賛される選手が、「勝とうと思うことも邪念に感じる」と言います。
ベルニャエフ選手は、祖国が戦争状態のために、練習場がボロボロで、スケートの羽生選手のような練習を積んでオリンピック出場を果たし、王者・内村選手に迫る活躍をしました。内村選手から、次はベルニャエフ選手が体操界を引っ張って行ってくれと激励されたそうです。
戦争さえも覆す、美しさの向こう側を見せてほしいですね。