好中球細胞外トラップ
好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps:NETs)は、免疫を担う細胞のひとつである好中球が、自爆するような形で、自らの細胞を犠牲にして、ネバネバした投網のようなイメージのものを出して細菌やウィルスを捕まえようとすることで、最初に報告されてからまだ20年経っていません。
新型コロナウィルス感染症の症状が進むと、サイトカインストームと呼ばれる免疫の働きの暴走が起こって、免疫細胞が血管を傷つけることがあると言われていましたが、末期には、好中球細胞外トラップも起こることがあるようです。
亡くなった方の死因となった詰まった血管の中に、好中球の死骸が多く見つかるのだそうです。
「心不全」で亡くなった方のPCR検査を死後にしてみたら、陽性だったと報じられることがあります。
症状がなかったり軽かったために自宅待機していた方が急に亡くなったり、心不全で亡くなる方が急増しているのは、新型コロナウィルス感染症に伴い、好中球細胞外トラップが起こって、血管が詰まってしまうからではないでしょうか。
感染確認者数の報告については、追跡や検査数を減らしていることから信頼性は既になく、比較的信頼できた重症者数・死者数についても信頼が揺らいでいます。死因の肺炎が新型コロナウィルス感染症に起因するのか否か鑑別診断しきれていない以上に、心不全でしきれていないと思うからです。
感染しないように免疫の働きを高めることが大切と言われますが、皮肉なことに感染すると免疫の働きを抑制したほうが重症化を防ぐことになります。
リウマチの薬の中に、新型コロナウィルス感染症にも効果がある薬があるのは当然の理屈で、高血圧などの持病がある方は重症化しやすいと言われていますが、リウマチ患者は逆に重症化しにくいかもしれません。
生きている限り、毎日、体の中でがん細胞ができてしまうのですが、免疫の働きで抑えられています。ところが、やはり皮肉なことに、がんが増殖すると免疫の働きが高まれば高まるほどがんの増殖も進んでしまうことがあります。好中球細胞外トラップで、免疫の手の内をさらしてしまい、がんがその上を行ってしまうことなどがその理由のようです。