殻の中に入ったエリート
石巻でも、最近、津波避難ビルのマークを見かけることが多くなりました。
10年以上前に、テレビで初めてこのマークを見ました。
東海地方で、大地震・大津波に備えて、避難訓練だけではなくて、医師ではない一般の人もトリアージの訓練をしていて、戸惑いつつ、「万一のときは、医師だけでは間に合わない大勢の重軽傷者が出るだろうし、自分がどうなるかもわからないから」と言っていたのを覚えています。
'他人事'と思っていた1年ほど後に3.11がありました。
テレビで見た津波避難ビルのマークは、大地震・大津波に耐えると認定された建物にだけつけられるものでした。10年前までは、石巻では見かけませんでした。
3.11の後に、津波避難ビルとしてこのマークがついた建物が、いくつか新たに建てられましたが、最近は、ただ「避難所」につけられているようです。写真の建物は、築何十年も経っていて。9年11ヵ月前に、「『建物が倒壊するかもしれないから、建物の中に避難してはいけない』と、消防署から通達があった」とデマが流されたほどの建物にも関わらずつけられています。
デマの流出源は、消去法でひとりしかいない(そのことを最初に聞かされた人物)のですが、「不明」とされています。その上司の英断で、建物の中に避難できましたが、デマに流されていたら、大川小学校ほどではなくても、人的被害が出たことでしょう。
「想定外」に代表されるような、起こってはいけないことが絶対に起こらないことに変わってしまう安易な楽観主義。
殻の中に入ったエリートは、ソシキに忠節を誓い、人間としてどう生きるべきかを自問自答することなく、マニュアル通りに動いてばかりだから、いざというときには電源が切れたロボットのように役に立たない。
80年前も、10年前も、今も。
温故知新。勉強しましょう。