歯根膜炎
認知症が進むと、タオルなどをぐいぐいとかみ続けることがあります。
当然のように、一本、また一本、さらに一気に二本......と歯を失います。
「歯を失う最大の原因は歯周病」と言われますが、「歯を失う最大の原因は歯根膜炎」です。
歯の根は、直接骨にくっついているのではなく、歯根膜と呼ばれる膜状の組織を介しています。歯根膜は、靭帯の一種で、歯周靭帯は歯と歯の間などにも歯と歯を何本もロープでつなぎ止めるように張り巡らされています。
歯根膜があるので、矯正治療で歯が動くのですが、膜状ではない歯周靭帯があるので、後戻りが起こります。
一部でも歯の根と骨が癒着していたら、矯正治療しようとしても歯は動きません。
歯根膜があるので、歯を指でつまんで動かそうとすると微妙に動きます。
生理的動揺ですが、面白がって動かしていると病的動揺になって、重度の歯周病として抜歯対象になったり、自然脱落します。
何度も説明しても、来院する度に、「歯が動くんですよ。歯を指でつまんで動かすと動くんですよ」とニヤニヤしていた輩は、出入り禁止にしました。「しゃべり好きな歯医者だ」と言われますが、しゃべり損で無駄なので。神経科や精神科は15分説明したら15分加算、30分説明したら30分加算と報酬があるかもしれませんが、歯医者にはないので。
「あれ? '歯を失う最大の原因は歯周病で、歯周病を悪化させる細菌を抑えるように丁寧に歯磨きして予防していれば、歯周病に悩まされない'と思っていたけど、違うんだね❗」
良いところに気がつきました。
筋トレして筋肉を鍛えることはできても、靭帯や関節は鍛えようがなくてケアするしかないのです。筋肉だって、鍛えるばかりでは筋肉痛を起こしたり傷めてしまいます。筋肉痛も炎症の一種で、負荷・力がかかり過ぎないように、休養と栄養が必要です。
歯磨きが乱暴過ぎても歯根膜炎を起こします。特に歯と歯ぐきの境目に45度の角度で歯ブラシの毛先を当てるような場合は、くすぐるようにいたわるようにします。力強くゴシゴシしたら、歯根膜炎を助長して歯や歯ぐきも傷めますから手入れとは言えません。
頬杖、腕枕、歯ぎしり、飴とか氷をガリガリかむのも歯根膜炎の原因になりますから、ほどほどに。
戦時中の日本兵の死因は、感染症と餓死が6割をしめたそうです。被弾負傷してよりも多かったんですね。戦地でその状態ですから、80歳前後の方に、コロナ禍と戦時中とどちらが大変だったか問うと、「食べるものがなかったから」という理由で「戦時中」になります。
その反動でか、「スギナヨウニカセロ(好きなように食わせろ)❗」と、好き勝手に飲み食いして、むし歯の治療を無駄に繰り返して歯を次々に失っていた輩も出入り禁止にしたんですが、認知症っぽくなっていて、何食わぬ顔で再来。
ダイエットの反動で過食症になって、酸蝕症と呼ばれるひどいむし歯に悩まされていた女性が10年にひとりの割合で二人いましたが、飲み食いがだらしなくてひどいむし歯になっていたのは、男性のほうがはるかに多くて、それを指摘してもプッツン❗
朝昼晩と10時と3時のおやつと言うように、飲食の間を2時間以上あける飲食生活習慣が大切です。平日はともかく休日はのように、一日二日緩んだだけなら問題ないですが、1ヵ月半もダラダラ飲み食い生活を続けていたら、どんなに技術を尽くしてむし歯治療をしても、無駄になります。
むし歯がひどくなって歯髄が腐って、根の先の歯根膜炎が重度になるとがまんできないほど痛むことがあります。理解力がなく、だらしなく飲み食いを続けていた輩には説明しても無駄。治療しても逆ギレばかり。
「『鶴は千年亀は万年』って言うだろ。歯なんてなくたって、ないほうが長生きできる」と笑い飛ばせるならそれで良いです。
鶴は、実際には、野生で20年ほど、動物園などで大事に飼われても50年ほどが寿命の限界のようで、亀は象亀の一種で200年ほど生きた記録があるようですが、長寿の象徴としての鶴も亀も歯がないので、「長生きには歯も入れ歯も要らない」とおっしゃるのは合理的ですね。せんべいはともかく、たくあんなどはかみにくいかもしれませんが。
「鶴はせんべいかめまへんねん❗」